HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2008/03/03

無知のベール

いくつか前の記事の漫画で登場した,無知のベールですが,ロールズの用語ということに気づきました.
もちろん他の意味なのかもしれませんが,ロールズの
Kantian constructivism in moral theory
の第一講義``Rational and Full Autonomy'' Section III に出てきたのを読みました.他にもいっぱいでてくるのでしょうが,ロールズを読んだのなんか初めてなので.

公平性としての正義にかんする言葉です.原初状態での個人の公平性を保障するための要件のようです.社会的地位や自然的能力などの情報を一切持たないとしてみよう,というような感じです.

この2ヶ月であきれるほどメタ倫理を読みましたが,倫理は難しいです.だんだんコツがつかめてきましたが,まだ頭に全然はいらないという状態です.モーアやスティーブンソンのが読みやすく,レイルトンとかギバート,マッキーとかが全然分からないです.ハーマンは超分かりやすいというか普通に感動しました.ブラックバーンはへんてこな言語哲学みたいなんが挟まるので,おもしろいです.マクダウェルはもともとややこいだろう,と思っていたので,まあ,なんとか.でもなんだそれ,という感は否めません.

メタ倫理を質問させてくれ,と倫理が専門の先輩とかに尋ねようとすると,例外なく「マクダウェルだけはきかんといてくれや」と先制されます.「まあ,まじめにマクダウェルやるのはピッツバーグの連中くらいちゃうん?」とのことです.

moral discourse and practice が教科書ですが,ウィトゲンシュタインとハーバマスだけさけて読んでます.そこは講師の趣味とかいろいろあるんでしょうが.あいかわらずですが,ウィトゲンシュタインの扱いの悪さには目を見張ります.

ところで倫理の授業でちょっと話題に出たので再び読んでみたのですが,ちょっと前のcognitionのこれ
semantics, cross-cultural style
ってやっぱ,ひどい,と思うんですけどどうでしょう.むかあしここのブログでも,こんなんあるんだーっと紹介したのですが,それどころでなく,こう,なんだろ,なんでやねん,という実験とその分析だと思ったんですが.
なんで香港人に英語で聞くの,とか,それはともかくも,なんで実験のprobes がそんなに違うの,とかとかつっこみどころ満載で,でもまあ,着眼点はよかった?ということなのでしょうか.