HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2004/03/30

酒井邦嘉,『言語の脳科学』(中公新書1647)
「1脳—心—言語」「2獲得と学習」「3モジュール仮説」「4普遍文法と言語獲得装置」「5言語の脳科学」「6言語の機能局在」「7言語野と失語」「8自然言語処理」「9言語入力の脳メカニズム」「10文法処理の脳メカニズム」「11手話への招待」「12言語獲得の謎」「13感受性期とは何か」

いろいろ盛り込んでいてよいが,まだまだ書き方に改良の余地はあるな.もっと整理して全体のバランスをとればもっと読みやすくなっただろう.まあ,そこは問題ではないのだが.

これを読むに,やはり言語学はまだサイエンス足り得ていないというのが率直な意見だ.fMRIや光トポグラフィーとはいえ,もっと技術的なブレイクスルーがないことにはあまり有意義には見えんな.実験結果が大雑把過ぎて解釈しようがありすぎる.

それよかはやはりモデル作成のがおもしろそうやな.

小牧治,『カント』(人と思想15)
「カントについて—カントと私」「I カントの住んだとき・ところ」「II 哲学研究にささげられた生涯」
伝記ばっかりしか読んでないが.このシリーズ.だからかおもしろい.ヒューム,パースも読んだ.

しかし,この人の書き方には非常に好感を覚える.おそらく高校生かあるいは中学生にも配慮したような書き具合だ.くだらないジャーゴンは使わない.それが一体どういうことかを説明しようとしている.

そして戦時中の自らに対する反省をばりばり述べている.潔い.そして二度とあんなことがないようにと.俺も何かしたいとするならば,正しい世界像を流布することによってまさに二度とあんなことがないようにしむけるべきだ.