HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2009/01/09

景気と哲学

はどう関係しているのでしょうか.哲学の内容と景気は関係していないような気がします.しかしながら大学経営と景気はどうも関係しているようです.
ほとんどライター通信ばかりですが,自前の情報も少しまじえて,日本語でまとめてみようかと思いたちました.というのも,二三度,私が「景気が...」というと,やや驚かれる場面があったので.


景気が悪いと大学の経営が難しくなります.例えばイェール大学では,来年度100億円の,そして2013,4年度までには300億円の予算不足だそうです.ここ.超巨大お金持ちの私大でこうですので,公立はおしてはかるべしでしょうか,それとも寄付に依拠しているのでそうなるのか,理由は分からないので明言は避けておきます.しかしながら,公立でももちろん,予算削減の呼び声があちこちから聞こえてくるということはあります.某公立大学では,全職員を対象にした無給休暇を与える決定がなされたようです.わずかながら,お給料を減らす,ということであるように見受けられます.

額が大きすぎてよくわかりませんが,われわれに関するレベルで話をすると,新規雇用の凍結が起こる,ということです.リンク先の最後,ハーバード大教授よりの一言にあるように,昇進が妨げられたり,大学生を苦しめる,というようなことはありえないようですが,新しく人を雇うようなことは,まさか,できなくなるわけです.

職員の給料を下げようか,としているときに,新たに雇用することは出来ないわけです.

新規雇用が凍結されてしまったという情報の一部は
ここを見てください.これだけを見ると,いくつか,だけなので,全体を通してどれほど求職が減ったかは分かりません.参考までにここを.

それぞれの求職情報に対して,どうも異様な数の応募者が殺到しているという噂,記事をめにします.上記のリンクにあるように,CUNYでは600の応募者,某大学の専門を問わない公募には400からの応募が届いたとか.普段の倍とはいわずとも,1.5倍はあるようです.ところでもちろん就職できるのは1/400です.こうした情報はどうも誇張ではない,ということも付け加えておきます.

もっと身近な例をあげてみると,去年にPhDをとった人々は,任期付非常勤の口がありました.さて,そうした非常勤を得た人々はもちろん今年また就職活動をします(一般的に,一握りを除く,卒業生は2度3度とtenureを得るまで毎年就職活動をします).テニュアどころか,どうも今年はなしのつぶてのようです.あの人たちは今後どうするのでしょうか.今年卒業する人々もほぼ無策だと漏れ聞こえます.どうするのでしょうか.アカデミアを離れるのも手だとは思います.

APAでは毎度就職の面接が行われるそうです.その面接に通ったものがキャンパスに招待されるというわけです.例年でも,70校から応募して一つでも面接がとれれば御の字だと聞きます.(トップ10の大学ならまた少し状況が違うと思いますが).いずれにせよ,そのAPAの面接会場のからっぽなこと,というこれは完全な噂話ですが,聞こえてきます.

ひじょうにうがった,厭世的な調の,大学院生たちのぼやきはここで読めます.

今年,来年と就職状況が悪かった場合,いわゆるbacklogがたくさん市場に出てきます.僕は遅くとも再来年にはでていくので,一体どんなひどい状況か,これは誰にも予測できません.

さて,以上を踏まえて,私はどう考えるのでしょうか?どういうわけだか,あまり心配していません.現実的であるべきだが,悲観的になるべきではないので,これはいい傾向なのかもしれません.それとも,これは心理上のバイアスに過ぎないのかもしれません.

さてどうなるでしょうか.自分がおもしろいと思うことをちゃんと人に伝えるよう努力すれば,なんとかなるのではないか,と勝手に思っていますが,これは幻影の可能性があります.しかし,まあ今は自分が面白いということをするだけです.