HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2004/07/02

倫敦に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。余は英國紳士の間にあつて狼群に伍する一匹のむく犬の如く、あはれなる生活を營みたり。

英國人は余を目して神経衰弱と云へり。ある日本人は書を本國に致して余を狂氣なりと云へる由。賢明なる人々の云ふ所には僞りなかるべし。