HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2004/01/20

石川淳『石川淳選集 8 至福千年』
落ちは「ええじゃないか」かよ,と思ったが,何にせよさすが心の師.まじいかすな.手習いを一つ.

乳白色の柄からすらりと伸びた金属の枝は,やがて八方へと折れ,柔弱な骨組みはしなやかにたわみ,曇天透かす合成樹脂が円を画いてみせたのは,ふけば飛ぶ百円傘と知れた.雨音は開いたビニルに落ちてこず,のしかかるは分厚い雲ばかりであった.