HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2009/06/09

ありあまる富

実家への帰り道,僕はビジネスクラスに偶然乗ることができた.もっとも,空港ではいつでも,学生呈だとセキュリティが厳しかったりするので,きちっとした格好をするようには心がけている.(僕は侮辱を受けたことを決して忘れない狭隘な人間である.)

格差社会とはくだらない単語である.

ビジネスクラスの区域には10席程度存在した.カーテンを一枚隔てた向こうはもちろんファーストクラスである.すなわち,少なくとも上空一万フィートの上におけるハイアラーキーの頂点からあと一歩のところへきたのである.しかしながら,乗務員の慇懃な態度,シャンペーンなど,どれもこれも予測の範囲であった.空でレアに仕上げた子牛を食べることが,それ程エキサイティングでないことなど読者諸君も想像できるであろう.マテリアルな欲求の上限が見えたきがした.僕は間違っているだろうか.ビジネスに常時乗れることがそれほどおもしろいものでないことは確かである.

車か,女か,衣服か.すぐに頭打ちのような気がするが.わからないということは,おそらく,ろくなものを食べて育ってこなかったということであろうか.子供を自ら育てるなどという農民の暮らし.オッペンハイマーやラッセルとは違う.今日の朝刊であったか,安田講堂のとき,当時東大生であった鳩山兄弟はレストランから悠々それを眺めていたという.

今年でもう大学を卒業してまる三年だ.モラトリアムにもほどがある.法科大学院を出て今年から弁護士になったという知人は初任給が900万から1200万であるという.まじでか?

i also could have been ... などとは,貧困線で生きている人間の戯れ言にしか聞こえない.ぶっちゃけ,私の昨年度の年収は18,000ドルあたりある.吐き気がする.ロリ先輩の戯れ言も覚えているだろうか?

ところで「ありあまる富」とは椎名林檎の新しい曲である.