HakuTouGin

年來自分が考へた叉自分が多少實行し來りたる處世の方針は何處へ行つた。前後を切斷せよ、妄りに過去に執着する勿れ、徒らに將來に望を屬する勿れ、滿身の力を込めて現在に働けというのが乃公の主義なのである。                      「倫敦消息

2006/02/24

映画

『オールアバウトマイマザー』, (todo sobre mi madre), Pedro Almodovar.
The man who wasn't there, (バーバー), Joel and Eathen Coen.
どちらもよい.どうでもいいことだが,見たこともない息子や父親に会いたいというくだりは実は大して説得力がない.なぜ血縁が大事なのか.the man.. はとにかく主演の人がよい.ぶっとんでる.ところで,この映画の面白いところは,全体を通して,主人公の視点からの独白で物語は進むのだが,僕らも結局いつも自身の語りを聞きながら暮らしていることを思い出してよい.まるで自分がそこにいるような,もしくは,普段の暮らしがまるで映画の一部のように感じる人は多いと思う.沢山の人が,忙しげに,行き交うのをなんとなしに皆,眺めているだろう.そしてそこには自らのくだらないナレーションが響くのである.

『ラスト・プレゼント』,オ・ギファン
あんまりいくない.八月のクリスマスのがよかった.音楽いくない.想定外のシーンがひとつもない.ましてや度肝ぬかれるような場面など望めない.人々の行動があんまり理解出来ない.病気と夫婦の絶縁の描写は何とかならんのか.もっと自然に描かれたら,共感したかもだが,異常にしか見えない.ありえない夫婦の行動と,ありえない病気と,見ていてひっかかる.病気はよく分からんが,心停止した人がいきなり立ち上がれるのか?貞節,沈黙は金,みたいな道徳観もりもりの映画はよっぽど淡白じゃないと押し付けがましくて辛い,ということがわかった.八月のクリスマスは,おすましみたいな味付けなので,胸焼けはしない.